世界の核兵器の現状

核軍縮・核廃絶のために
世界の核兵器の現状

社団法人 原子燃料政策研究会
(更新:2016年9月)

世界の核兵器の現状

  • NPT(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons:核兵器の不拡散に関する条約)で認められている核兵器国
    • 1967/1/1までに核を持った国(NPTで規定)が、米・ソ・英・仏・中の5カ国のみ
    • 核不拡散条約(NPT:1968/7/1署名のため開放、1970/3/5発効)で規定された核兵器保有国
    • 2015/2現在、NPT締約国191カ国(インドパキスタンイスラエル南スーダンは非締約国(外務省ホームページより))。南スーダン共和国は、2011/7/9に建国され、未だ体制が整っていないため
    • 北朝鮮は、1993年にNPT脱退を表明、1994年に国際原子力機関(IAEA)を脱退表明し、2003年に脱退。2005/2/10、公式に核兵器の保有宣言を行い、2006/10/9~2016/9/9に地下核実験を5回実施

核兵器国(NPT規定核兵器国)

  • 米国は1940年からマンハッタン計画を実施、1945年までにウラン爆弾、プルトニウム爆弾を開発。1945年末までに6発(マンハッタン計画で4発、その後2発)製造。そのうち1発(Pu爆弾)が核実験(Trinity Test)、1発が広島に投下(U爆弾)、1発が長崎に投下(Pu爆弾)。2016/3/1現在4,670発保有
  • ソ連は1949年に1発を保有。2016/3/1現在4,500発保有
  • 英国の核は、当初は自国で開発し、1953年に1発保有。2016年現在225発保有
  • 仏国は、1964年に4発製造・保有。2016年現在300発保有
  • 中国は、仏国と同年1964年に1発製造・保有。2016年現在260発保有

NPT枠外の核兵器国(NPT規定外の事実上の核兵器国)

  • インドは、1974/5に最初の核実験を実施。2016年現在100~120発保有(Stockholm International Peace Research Institute(SIPRI)13 June 2016)
  • パキスタンは、1998年に最初の核実験を実施。2016年現在110~130発保有(上記資料)
  • 北朝鮮は2005/2/10に4発持っていると宣言。研究炉の稼働により、Puを20~25kg以上保有していると見られ、「10発」以上保有していると予測(上記資料)
  • イスラエルは、持っているとも、持っていないとも発言していない。しかし、1967年に保有か? 現在、水爆も含めて80発保有と予測されている 上記資料
  • イラン
    • 「平和利用」と称してウラン濃縮工場(遠心分離法)を建設
    • 2013/8/3より、ハサン・ロウハーニー大統領となる。2013/10/15からジュネーブでイランの核開発を巡る国連・安保理5カ国+ドイツ(6カ国)との交渉で、11/24にイランが核開発を制限する見返りに、6カ国が凍結資産の解除など一部制裁緩和をすることで合意
    • IAEAが2014/7/20、イランが濃縮度20%ウランの廃棄作業を完全に終了していないとの報告書を作成
  • 南アフリカは、1982年に核保有し、1991年にNPTに加盟する前に核解体(6発)したと1993年にデクラーク大統領(F.W.de Klerk:就任期間1989/8/15-94/5/10)が宣言。小型化した核(核弾頭?)を数十発保有していたとの報道もある
  • イラクは作ろうとしたができなかった。濃縮工場建設に失敗(イラクの核兵器開発は米国のでっち上げとも)
  • ブラジルとアルゼンチン
    • ブラジルの軍事政権(1964-85)が、1974/5のインド核実験を契機に、1974/6の軍の会議でガイゼル大統領(E. Gaisel:就任期間1974/3/15~79/3/14)が「近い将来アルゼンチンも核実験する可能性がある」として核開発の促進を発言
    • 両国間の対立から、それぞれに1950年代から核開発を進めていたが、1980年代に両国の民政移管後、1990年代に共同で核開発を停止すると宣言した。両国とも核兵器の製造までには至らなかったとされている。なお、ブラジルはウラン濃縮(遠心分離法)工場を稼働中
  • リビア
    • 計画を中止(2003/12)。2004/8/30 NPT保障措置履行
    • リビア(当時、カダフィー統制)は英国、米国に核兵器開発の計画を中止する旨の申し出でをするが、完全な放棄には至らず(2003/4?)
    • パキスタンのアブドル・カディール・カーン博士の行動チェックから、2003/10/4 に リビアの核兵器開発用の遠心分離器の部品(P2)がスエズ運河航行中のドイツ船籍船で押さえられ、リビアの核兵器開発が暴露。PSI(Proliferation Security Initiative:拡散に関する安全保障構想)の地中海活動が功を奏し、これがリビアの2003/12 の開発放棄宣言へとつながった。英米との協議の末と説明
      (PSI=参加国共同による移転(Transfer)、輸送(Transport)の阻止。2003/5/31に、米ブッシュ大統領がポーランドのクラコフでPSI構想を発表し、日・英・伊・蘭・豪・仏・独・スペイン・ポーランド・ポルトガルの10カ国に参加を呼びかけ→2016/7現在、参加国は105カ国に)
  • シリア
    • バッシャール・アル=アサド大統領は、北朝鮮から技術導入
    • 2007/9まで秘密裏に核施設(Pu生産用原子炉)を、北朝鮮の技術支援で建設したと考えられている
    • 2007/9/6に、シリアの核施設をイスラエルが空爆(北朝鮮技術者10人死亡と報道(米紙))
    • 2008/4/24に米国議会秘密公聴会で米政府が、「シリアが原子炉建設をIAEAに通報せず、空爆後も証拠を隠滅」と説明。シリアのアサド大統領は「軍事施設で核施設ではない」と反発
  • キューバ
    • ソ連に核ミサイルの持ち込みを要請、後にソ連が撤去(162発)。キューバ危機(1962/10)ケネディ=フルシチョフ時代(当時の米国の核兵器数25,540発、ソ連3,346発保有)
    • 2008/2/24、フィデル・アレハンドロ・カストロ・ルスは、国家評議会議長・閣僚評議会議長(首相)退任し、ラウル・カストロ・ルスと交替
    • 2014/12/17オバマ大統領がキューバとの国交正常化交渉を開始すると発表。正常化交渉が続けられる(1961/1/3米国がキューバと国交断絶)
    • 2015/1/16 米国は関係改善のために経済制裁を一部緩和(キューバと中国は経済、軍事で親密関係)
    • 2015/4/11パナマ市で、オバマ大統領とラウル・カストロ国家評議会議長が国交断絶後初めて、59年ぶりに会談
    • 2015/4/14オバマ大統領がキューバの「テロ支援国家指定」解除通告を米議会に通告。その後の45日間に連邦議会も解除に反対しなかったことから、5/29にリストからの除外が正式に決定
    • 2015/7/20米国、キューバが相互に大使館を設置して、1961年に断交して以来54年ぶりに国交回復へ
    • 2016/3/20にオバマ大統領は、現職の合衆国大統領としては1928年のカルビン・クーリッジ以来88年ぶりにキューバを訪問
  • ウクライナ
    • 1991年時点でソ連の核弾頭5,000発が配備されていたが、1996年までにその核兵器をロシアに移管、あるいは自主的に廃棄。(Wikipedia「核保有国の一覧」より)
    • クチマ政権時(1994~2003)に、核弾頭搭載可能な旧ソ連製巡航ミサイル(X-55:射程距離3,000km)18基が中国とイランに不正輸出(2005/3 ウクライナ検察当局が認める)
    • ウクライナでは、ロシアに引き渡したはずの内の250発が行方不明? (2005/12/19読売)
    • ヤヌコビッチ大統領(ウクライナ)が、2010/4/12-13 のワシントンDCでの核サミットで、12日、オバマ大統領との会談において、2012年までに国内に備蓄されている高濃縮ウランを全て破棄と表明。(核兵器数個分・ロシアに移送)
    • 2014/2/24 ヤヌコビッチ氏は大統領を解任された
  • その他・闇市場
    • ソ連(ロシア)の計数外核兵器、核物質、さらにソ連崩壊後の技術者(ロシアについては国際科学技術センター(ISTC)が協力して流出防止しているが)
    • パキスタンのアブドル・カディール・カーン博士のウラン濃縮技術
    • 核物質の盗難、等々(過去15年間に濃縮ウラン(低濃縮)の盗難が世界中で400件。盗まれたウランの65%がまだ回収されていないとされている)
    • 米国や当時のソ連が、原子力平和利用における米・ソそれぞれのシェアーを広げるため、世界各国に平和利用の研究のための研究炉(低濃縮ウラン)を提供したが、その後、研究の効率を高めるために20%以上の高濃縮ウランを提供した。その高濃縮ウランの回収を今、米国、ロシアが進めている
    • 通常兵器の闇市場が核兵器、核物質の取引を行っているともいわれている

マンハッタン計画の費用

マンハッタン計画の費用

米国ブルッキングス研究所試算「U.S. Nuclear weapons Cost Study Project 2005/3/8」

  • 4発の核爆弾を作るのに、19億ドル。1996年度価格で215億ドル。(2015年価格では326億ドル)

世界の核実験回数
1945~1981年までの核実験回数(1/2)

1945~1981年までの核実験回数(1/2)

(A:大気圏あるいは水中 U:地下)

  • 1945年の米国の3回の核実験は、「トリニティー・テスト」、「広島」、「長崎」
  • CTBTOのHPより

1982~2016年までの核実験回数(2/2)

1982~2016年までの核実験回数(2/2)
  • 1997年以降、米・露・英・仏・中が核実験を停止(未臨界実験は除く)
  • 1998年にインドとパキスタンが2回ずつ
  • 2006/10/9、2009/5/25、2013/2/12、2016/1/6に北朝鮮がそれぞれ1回ずつ合計4回の地下核実験を実施
  • 米国は1970年代までに大半の核実験を済ませ、水爆の小型化が完了している。Minuteman-III(現役、初めてのMIRV)1970年に配備完了
  • 2005/7/1 米国上院本会議で、核弾頭付きバンカーバスター(特殊貫通弾)の研究費400万ドルの一部を2006年度予算として承認
  • ソ連は、MIRV化が米国に出遅れ、1970年代も小型化の実験が続く
  • イギリスは途中から米国の実験に相乗り。(1958年米英相互防衛協定(US-UK Mutual Defence Agreement))

世界の大気圏・地下核実験の推移(1945~2016年)

世界の大気圏・地下核実験の推移(1945~2016年)
  • 1962年頃から地下核実験に急速に移行。大気圏での核実験が世界的な大気汚染を引き起こした
  • 1945年の3回の実験は、「トリニティー・テスト」「広島」「長崎」
  • 2006年、2009年、2013年、2016年の地下核実験は、北朝鮮の核実験

(CTBTOのHPより データは「NRDC Archive of Nuclear Data」を利用か)

  • 中国のその後の度重なる大気圏核実験により、その放射性物質が偏西風に乗って日本を汚染。茨城県衛生研究所(1972年以降「公害技術センター」に改組)の「雨水・降下じん中の全β放射能測定結果(グラフ)によると、中国が大気圏での核実験(1964~1980年23回)を行った初期の1966~1972年に、茨城県に降下した放射性降下物(フォールアウト)は飛躍的に増え、1970年には 17,000Bq/m²に達している
  • 他の資料では、1966/12/30に石川県輪島市で、雨水による全β放射能降下量は 207,200Bq/m²(資料の表示は 5,600mCi/km²/日)、1967/1/1に鳥取県米子市で同様に、136,900Bq/m²(資料の表示は 3,700mCi/km²/日)が中国からの降下量である

核実験国・被核実験国(イメージ図)

核実験国・被核実験国(イメージ図)

(核を使用された、実験された国・地域の「〇」の色が、核を使用した国の色
(例えばオーストラリアの紫色の丸は英国の色))

  • 黄緑色(Light green)の国(日本、アルジェリア、オーストラリア)は、他の国が実験に使用した。日本は米国が、アルジェリアはフランスが、オーストラリアは英国が「核実験」
  • 桃色(Pink)の国(ウクライナ、(北から下に)カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン)は、ソ連時代に核実験場があった
  • アフリカの南の海上の灰色の丸と「?」は、1979年に「スパイ衛星VEGA」が2度の閃光を確認した地域で、南アフリカとイスラエルの共同核実験と考えられている
  • 英国が核実験を実施したオーストラリアの地域は、マラリンガ と エミュ実験場で、12回。「アデレードAAP」によれば、2009/12/18に、1953年~1963年まで英国の核実験場として使用されたマラリンガの土地がようやく先住民アボリジニに返還(核実験場で返還されていない最後の土地がまだある:アボリジニの聖地)(1984年から徐々に返還)
  • この図には含まれていないが、北朝鮮が自国で実験

核兵器国の核保有数(1945~1981年)(1/2)

核兵器国の核保有数(1945~1981年)(1/2)

(イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮を含む核兵器国)

  • 1945年末に米国が2発(広島、長崎に投下後、さらに2発保有)
  • 1949年にソ連が1発、1953年に英国が1発、1964年に仏国が4発、中国が1発保有
  • 1967年にイスラエルが2発、1998年にインド、パキスタンが保有
  • 1974年のインドの「*」印は、核実験
  • 米国は1967年に最大31,255発、ソ連は1986年(次のスライド)に最大40,159万発の核を保有していたと予測

核兵器国の核保有数(1981~2016年)(2/2)

核兵器国の核保有数(1981~2016年)(2/2)
  • 北朝鮮の2006・2009・2013・2016年の「*」印は、核実験
  • Sputnik Franceの「SPUTNIK INTERNATIONAL」(2015/2/25)によれば、今後5年間で北朝鮮の核兵器が100発となると、米国の北朝鮮関連調査員の「Joel Wit」氏が言っているとしている。現在は10~16発、最悪のシナリオでは2020年には100発になると予測
  • 1978年に米国とソ連の核兵器数が逆転(ソ連が超過)。翌年の1979年に核凍結の動きが起こり、大統領選でカーターがレーガンに負けることとなった
  • ソ連は、1979年にアフガンに侵攻
  • 1989/12/2~3、マルタ島の米ソ・マルタ・サミットでブッシュとゴルバチョフにより、冷戦終結を宣言
  • 米国は、1万発あった核兵器を、2007年1年間で5,400発に半減したと発表
  • 2010/5/3開催のNPT再検討会議で、米国クリントン国務長官が、2009/9/30現在で5,113発と発表。1967年の31,255発(米国の最多)に比し84%減少。そのデータによれば、2004年以降、順次削減(国防費の削減)

オバマ大統領(バラク・フセイン・オバマ2世:Barach Hussein Obama II)

  • 大統領選挙運動中(2007/10/2 シカゴでの演説)民主党大統領候補:「米国は核兵器の存在しない世界を求めている」(Here's what I'll say as President:America seeks a world in which there no nuclear weapons.”・・・)と言いつつ、「しかし、一方的な軍備撤廃はしない。核兵器が存在する限り、我々は強い核抑止力を維持する」
  • 大統領就任後のチェコ訪問中(2009/4/5 プラハでの演説)、公約に掲げた「核兵器無き世界(a world without nuclear weapons)」の実現に向け、核軍縮交渉の推進、CTBT(包括的核実験禁止条約)の批准、大量破壊兵器の拡散防止強化などを柱とする包括構想を明らかにした
    「米国は核兵器を使用した唯一の核兵器保有国として行動する道義的な責任(moral responsibility)がある」
  • 2009/12/10ノーベル平和賞を受賞
  • 2016/5/27岩国基地(広島訪問に先立ち)の米軍人を前での演説で、「・・・かつての敵はパートナーだけでなく最も強固な同盟国になったのです。この同盟がまさしくここで示されています。本当にこれは良い例です。信頼、協力、そして日本と米国の間の友情であります。米国の海兵隊が日本の自衛隊とともに平和を守ろうとしています。・・・」(2016/5/27 産経新聞)
  • 2016/5/27、現職大統領として初めて広島を訪問したオバマ大統領は、「恐怖の論理に捕らわれず、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない」と演説(5/27朝日新聞)

米国、ロシア、英国、フランス、中国の核兵器保有数推移

米国、ロシア、英国、フランス、中国の核兵器保有数推移
  • 米国の核は、おそらく実数。ソ連/ロシアの核は米国との核軍縮交渉での報告数(?)
  • 米国、ソ連/ロシアに比べ、英国、仏国、中国の核保有数は、横軸に沿うほどに少ない(米国・ロシアを省いたグラフは次スライドで)
  • 米・露の核兵器が減少している要因は、核兵器の性能向上やCEPの精度向上による小型化、配備数削減と、核軍縮交渉もあるが、最も大きな要因は、ソ連の経済破綻(1991/12/25 ゴルバチョフ辞任)と、米国の国防予算の削減
    (CEP:Circular Error Probability;半数必中界=半数命中半径)

英国、フランス、中国、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮の核兵器保有数推移(米国、ロシア以外の核兵器国)

英国、フランス、中国、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮の核兵器保有数推移(米国、ロシア以外の核兵器国)
  • 英国、フランス両国は、核兵器保有してから20年ないし26年で500発以上を保有するようになったが、その後冷戦の終結と共に保有数も減少
  • 英国は、1953年に自国製核兵器を保有するに至ったが、その5年後の1958年には、英国に米軍の核弾頭148発が配備され、1976年には492発となり、英国の核との合計で892発に達した(米国はソ連に対し、英国独自の配備数以上の核の配備の必要性を感じていたためか)
  • 核兵器の性能向上のためか、1979年以降、米軍による英国への配備数は減少し、冷戦の終結に伴い、1991年以降は、米国の核の配備は終了したこととなっている(配備した核を1991年に撤収し、1992年にはゼロ)
  • その他ヨーロッパには、1954年以降2010年まで(2011年以降のデータ無し:Bulletin of the Atomic Scientists)は、ベルギー、西ドイツ(ドイツ)、イタリア、オランダ、トルコに、米軍により核兵器が配備されていた
  • 「the Federation of American Scientists」のHPによれば、2014年のヨーロッパで米国の核兵器数(B61核爆弾)は、ベルギー20、ドイツ20、イタリア(2軍事基地に)50・20、オランダ20、トルコ50 と、合計180発が配備されている
  • 中国、イスラエルは、冷戦終了とは関係なく保有し続けている。特に中国の核保有数の推定は確度が低いと思われ、かなりな量を保有、増やしていると思われる。中国が公表する軍事予算は、実際の1/5以下というのが専門家の常識
  • インド、パキスタンは、両国間の核軍拡競争のためか、増加させている。今後も削減の見込みは無かろう
  • 北朝鮮の核兵器の数については、2度の核実験を経て、2010年頃から徐々にその保有数を増加させていると考えられる。韓国のメディアでは、北朝鮮が核の小型化も図っているとの報道もある

米国の核兵器開発費用
1940~1996年までの核兵器関連プログラム費用

1940~1996年までの核兵器関連プログラム費用

(ブルッキングス研究所試算:1996年ドル換算)

  • 米国の1940年から1996年まで57年間の核兵器開発総費用が5兆8,208億ドル(将来の解体・廃棄物処理費用を含む最小概算額)
  • 最も費用が掛かるのが、核兵器の配備費用(2行目:55.68%)

1940~1996年までの核兵器関連プログラム費用(グラフ)

1940~1996年までの核兵器関連プログラム費用(グラフ)

(ブルッキングス研究所試算)

米国の核兵器開発費用
1940~1996年の57年間の国家予算・各項目別順位

1940~1996年の57年間の国家予算・各項目別順位

(ブルッキングス研究所試算)

  • 57年間の核兵器関連予算総額は、5兆4,810億ドル。57年間の国家予算総額の10.6%相当(「国家防衛」「社会保障」に次いで第3位)
  • エネルギー予算は、全予算の 0.6 %(第19位)
  • 米国の2016会計年度国防予算案5,850億ドル(2015/10~2016/9)
  • この国防費は、米国の2016年度の予算総額3兆9,990億ドルの14.63%に相当
  • 中国の2015年度の国防予算(公表額)は、前年度比10.1%増の8,869億元(約17兆円:1中国元=19.14円)。実際は公表額の5〜6倍が通説
  • 日本の防衛関係費(2016年度予算)5兆541億円(政府予算総額96兆7,218億円の5.23%)

米国の核兵器開発費用
1940~1996年の57年間の国家予算・各項目別順位(グラフ)

1940~1996年の57年間の国家予算・各項目別順位(グラフ)

(ブルッキングス研究所試算)

  • 核兵器関連予算-57年間予算総額の10.6%相当
  • エネルギー予算は全予算の 0.6 %

軍縮関連条約など

軍縮関連条約など
  • 1987年12月、中距離核戦力全廃条約(INF条約)締結。その条約交渉時に、ミハイル・ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長は、ロナルド・レーガン大統領に対し、米国のSDI計画(通称:スターウォーズ計画)を10年間止めるなら、ソ連は核廃絶を行う用意があると表明。しかし、レーガン大統領は「スターウォーズ計画」を停止しなかった(できなかった?)
    ○ゴルバチョフ書記長は、「スターウォーズ計画」をきっかけにして米国と共に核廃絶を達成したかった? ゴルバチョフ書記長はブッシュ大統領と異なり、軍部のコントロールが可能だったようだ
  • 2008/4/6 米・露(ブッシュ大統領・プーチン大統領)首脳会談による戦略枠組み「ソチ宣言」採択(ロシア南部の都市「ソチ」で。2014/2/7~23 ソチで第22回冬季オリンピック開催)
  • 米・露が互いに戦略的脅威と見なした時代は終わったと再確認
  • 米・露が戦略的競合から戦略的パートナーシップに引き上げ
  • パートナーとして安全保障を促進し、国際テロや大量破壊兵器の拡散などの平和への脅威に立ち向かう
  • 2009/7/6 オバマ=メドベージェフ会談で、START-1(2009/12失効)に代わる削減(New START)を合意
    1)戦略核弾頭=上限を、現状2,500発から 1,500~1,675発に削減
    2)運搬手段(ICBM・SLBM・爆撃機)=500~1,100に抑制
  • 2010/4/8 上記軍縮条約に署名
  • 2010/11/3 ロシア下院外交委員会は、2010/4 に、オバマ=メドベージェフが調印した核軍縮条約について、2010/7 に米下院に対して批准勧告を出していたが、それを取り消した。米国の中間選挙(2010/11/2)で、共和党が下院の過半数を占めたための懸念から
  • 2010/12/22 米上院は条約を批准
  • 2011/1/25 ロシア下院批准。2011/1/26 ロシア上院批准
  • 2011/2/5 発効

軍縮:米国とソ連/ロシアの戦略核軍縮交渉概要

軍縮:米国とソ連/ロシアの戦略核軍縮交渉概要
New-START
  • 2009/7/6 オバマ=メドベージェフ会談で、START-1(2009/12失効)に代わる削減を合意
    1)戦略核弾頭=上限を、現状2,500発から 1,500~1,675発に削減
    2)運搬手段(ICBM・SLBM・爆撃機)=500~1,100に抑制
  • 2010/4/8 オバマ=メドベージェフ署名
  • 2011/2/5 発効
    1)就役中のICBM・SLBM・重爆撃機の合計を700基(機)に
    2)就役中のICBM・SLBM・重爆撃機の核弾頭の合計は、1,550発
    3)就役中・非就役中のICBM発射装置、SLBMの発射管、重爆撃機の合計は、800基(機)
SALT:Strategic Arms Limitation Talks (戦略兵器制限交渉)
署名人
1:第1次戦略兵器制限交渉=Gerald Ford-Leonid Brezhnev
2:第2次戦略兵器制限交渉=Jimmy Carter-Leonid Brezhnev
START:Strategic Arms Reduction Treaty (第1次戦略兵器削減条約)
署名人
1:第1次戦略兵器削減条約=George H.W. Bush-Mikhail S. Gorbachev
2:第2次戦略兵器削減条約=George H.W. Bush-Boris N. Yeltsin
SORT:the Treaty Between the United States of America and the Russian Federation on Strategic Offensive Reductions (アメリカ合衆国とロシア連邦との間の戦略的攻撃(能力)の削減に関する条約:モスクワ条約)
署名人=George W. Bush-Vladimir V. Putin
ロシアの解体核物質を米国で核燃料として燃やす共同事業
  • 2013/12/10、米・国家安全保障会議(NSC)の発表
  • 核兵器の削減による廃棄核弾頭から取り出される核物質の流出を防ぎため、1993~2013年まで、20年間にわたり、旧ソ連核保有諸国(ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシ)の解体核弾頭から取り出された濃縮ウランを米国が購入し、米国の原子力発電所で燃料として燃やすとのロシアとの共同事業が完了した(核廃棄計画の一つ:the U.S. – Russia “Megatons to Megawatts” Program)
  • 20年間で、500tの高濃縮ウランを低濃縮ウランに薄め、それを米国が購入し、米国の原子力発電所で燃やし続けたよう。その量は米国の発電量の10%に相当
  • 1993/1/3に署名されたSTART-II(第二次戦略核兵器削減条約)により、米・露両国は戦略核兵器を3,500発程度まで削減することとなった
  • この削減のために米国は、ナン・ルーガー法を制定し、削減の支援のために12億ドルの予算で解体・廃棄のための資機材の供与を行っている。また、1993/2にはロシアとの間で、解体後取り出される高濃縮ウラン500tの購入契約を締結した
  • 日本は、1993/4のG7閣僚合同会議において、旧ソ連核保有諸国(ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシ)の非核化支援のため、約1億ドルの無償支援を行うことを表明
  • また、これら旧ソ連諸国の核開発に関連した科学者、技術者を平和的な活動に仕向けるために、国際科学技術センター(ISTC)が米国、EC、日本、ロシアによって1994/3に設立

「原子炉級Puで核兵器は作らない」

原子炉級Puで核兵器は作らない

(軽水炉から取り出された原子炉級Puで核兵器を作るバカな国はないし、作った国、組織もなかったことを2つの例で説明)

-例1-
「核兵器級・原子炉級プルトニウムの同位体組成」表(故・今井隆吉・元軍縮大使 作成)
(表中のマグノックス炉(英国の原子炉)とは、本来Pu生産炉で、発電は副産物)
  • Pu240が7%以下までは核兵器用核物質として使用
  • Pu240が7%以上のものは、自発核分裂による中性子の発生が増加し、その中性子によりPu239が劣化(不安定化)すると共に、取り扱う兵士の被曝が増大する。また、発熱量が増えるために冷却装置が必要となる
  • Pu240が7%以上含まれるPuでは、冷却装置付の、勝手に爆発する可能性の高い「核爆発物」を製造することは出来るが、兵器には適さない、ということ
  • 軽水炉の使用済燃料から分離されたPuには、Pu240が25%前後含まれているため、それで核兵器を作った国は無い
  • 現在の軽水炉では、40,000MWD/t 以上にまで燃料を燃焼・消費するので、Pu240の含有率はさらに高くなる
-例2-
  • 米国が北朝鮮に提供しようとした原子力発電所(KEDOから提供)は軽水炉である。
    (KEDOプロジェクトは、2002/10に北朝鮮がウラン濃縮計画を進めようとした疑惑が生じ、また2005/2に北朝鮮が核兵器保有宣言したため、最終的には2005/11 に建設進捗率34.5%で中止された)
  • 原子力発電所の使用済燃料から分離したPuは、日本も、再度、原子力発電所の燃料として使用するために保有しているが、核兵器の原材料としては適さない。原子力発電所で燃料として使用する以外に利用価値は無い
  • Pu238、Pu240、Pu241等のプルトニウム同位体は、発熱体であり、放射線源であり、爆発力が不確かで、技術的に不安定で、信頼が置けない。そのような原子炉級プルトニウムにより、敢えて核兵器を製造し、保有するメリットを誰が認めるかという点である。インド、パキスタン、あるいは北朝鮮ですら核兵器には兵器級プルトニウム、あるいは高濃縮ウランを使い、製造している。
  • 原子炉級プルトニウムでしか「核爆発装置」を作る以外に手段のない国・集団にとっては、この「核爆発装置」の製造は技術的に難しい。技術的に可能な国にとっては、兵器としての信頼度に欠けるというのが実体であろう。つまり「作れるかどうか」ではなくて、「作る意味があるかどうか」の問題であり、答えは「ノー」

自然放射線・人工放射線

自然放射線・人工放射線
  • 体重60kgの人は自分の体内に、カリウム(K)40が4,000ベクレル(Bq)、炭素(C)14が2,500Bqを含有している。(体重1kg当たり100Bq強)(1Bq=1個の原子核崩壊/秒)
  • これら体内含有の放射性物質により、年間約0.3mSv/年を内部被曝。
  • 飲食品中(Bq/kg):食パン=30 米=30 牛乳=50 牛肉=100 魚=100 ほうれん草=200 生わかめ=200 ポテトチップス=400 生椎茸=700 干し昆布=2,000 ビール=10
カリウム(K)40
  • 成人で、飲食物摂取により、カリウム約140g程度が体内に保持される。カリウム内のK40(半減期12.48億年)の割合は、0.0117%と一定。カリウム1g=30.4Bq、カリウムはコンクリートや花崗岩に高濃度に含まれる
  • 天然にはカリウムの存在量が多いため、K40は、トリウム、ウランとともに、自然放射線量の1/3を構成する
炭素(C)14
  • C14は、成層圏で窒素(N)原子に熱中性子が吸収されて生成。半減期5,730年。木材などに定期的に吸収(光合成)されるため、木製の仏像などの年代測定に使われる
  • 過去3,000年の間には、奈良時代である西暦774~775年に宇宙線が増加し、通常のC14の、太陽活動周期11年の変化率の20倍に相当する量が地球に降り注いだ。原因は不明。(2012/6/4読売、他:名古屋大学太陽地球環境研究所報告)
ラドン(Rn)222
  • Rnの同位元素の中では、Rn222の半減期(3.82日)が最も長い。土壌や岩石中のラジウム(Ra)226が崩壊して希ガスのRn222となり、大気中に放出。岩盤の上やヨーロッパなどでの石の建物、コンクリートのビル、また、換気があまりされない室内ではラドン濃度が高くなる
全体として
  • 大地からの放射線は地域により異なる。日本では、関西・中国地方は放射性元素を多く含む花崗岩地帯が多いため、ガンマ線量が多く、関東平野は火山灰地のため、ガンマ線量が少ない。
  • 原子力発電の境界:0.05mSv/年
  • 海抜3,000mの山・地域の宇宙線被曝:1mSv/年(平地では0.3~0.4mSv/年)
  • 東京-ニューヨーク間・航空機往復:0.19mSv
  • 放射線医療従事者:1.33mSv/年
  • 航空機乗務員:2~5mSv/年
  • 宇宙飛行士:1mSv/日 宇宙飛行士の滞在は半年に制限(合計180mSv)
  • 短時間に100mSvを超える放射線被曝で、白血病などとの関係に比例性が認められる
  • 250mSv以上で、リンパ性白血球の減少が見られる(急性)
  • 1,000mSvで、急性放射線障害(急性)
  • 3,000~5,000mSvで、50%が死亡(急性)
  • 7,000~10,000mSvで、99%が死亡(急性)
(参考)
  • 米国陸軍工兵隊の資料:タバコ1日2箱の喫煙で、80mSv/年の被曝。リン鉱石から造られる肥料から、ポロニウム(Po210)がタバコの葉に付着(ポロニウムは、少なくとも2%が肺がんの原因)、フィルターを通して吸っても97%が通過
ポロニウム(Po)210
  • Po210は、α崩壊、半減期138.4日、親核種は鉛210:半減期22.3年
  • 初期の原爆の起爆剤である中性子発生源にベリリウムと一緒に使われていた
  • 1960年代にタバコとタバコの煙にPo210が含まれていることが証明。米国のたばこ会社でも1968年に確認。各国でもでも確認
  • 1日1.5箱タバコを吸い続ける人は、1年間でレントゲン撮影を300回行うと等しく被曝するとの計算もある